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3.インドIT産業の特徴 (2007年1月29日作成) 今回はITの第3回、インドIT産業の特徴です。 インドIT産業の特徴は、1)対米輸出中心、2)ソフトウェア中心、3)上流から下流までの一括管理、4)大企業が巨大化、5)経験、品質、人材供給力です。以下に、その経緯と状況を記します。 1991年インド政府は経済の自由化を断行し、インドは成長へと歩み始めました。この頃はアメリカでは「IT革命」が進行し始めていた時期で、経済のグローバル化、オープンシステム化も進んでいた時期でした。この頃シリコンバレーでは、多くのインド人がIT技術者として貢献していました。 米国でのIT化の進展は、ソフトウェア開発に関連する業務量の拡大へとつながり、この需要がインド人ネットワークとが結びつき、インドのソフトウェア産業が急成長していくことになりました。 当初インドのソフトウェア企業は、インド人技術者を米国の顧客先に送り込むオンサイト・サービスが主流でした。その後、2000年問題対応、米国のビザの発給制限の強化、データ通信の発達、さらにインドと米国の時差がちょうど12時間だったこと、コスト削減効果の認識の高まりなどの要因で、インド国内からサービスを提供するオフショア・サービスのシェアが高まっていきました。 インド側もハードの普及が遅れ需要が少なかったことと単価の安さから、インド国内向けのサービスは増えませんでした。それで輸出が8割を占め、国内市場向けに比べて圧倒的に輸出が大きい構造となっています。そして中でも上述のような経緯で、対米が輸出の7割以上を占めている状況です。 インド国内はハードの普及が遅れ、内需は当初ほとんどありませんでした。それは上記経済の自由化までの、公企業を中心とした国内産業の保護を優先するインドの政策にありました。そのため国内産業の競争力は弱体化し、世界の技術革新の潮流に乗り遅れていました。それでインドの製造業は弱体化し、IT産業においてもハードは弱く、優秀な技術者がいれば成り立つソフトに傾斜した構造となっていったのでした。 しかし現在は自動車や携帯電話などの組み込みソフトに見られる、ハードにおいてもソフトの比重が高まっている状況があります。このことはソフトに優れるインドにとっては有利なことで、この組み込みソフトは、今後インドで最も期待される分野のひとつとなっています。 2000年を過ぎて世界的なIT不況の時代に入り、欧米の企業にとって経費節減、企業経営においては選択と集中がが大きなテーマとなってきたことも、インドのIT産業にとっては追い風となりました。すなわちIT支出についても外部の専門のITベンダーに委託する動きが加速し、さらに新規投資よりも既存のITインフラを最大限に活用することに重きが置かれるようになったことで、メンテナンスや統合といったインドが得意とする業務が注目されるようになりました。 またコアな業務に経営資源を集中し、ITアウトソーシングの効果が認識され始めると、新たなIT関連サービスとしてITを活用した業務プロセスのアウトソーシングBPOが拡大してくることになりました。そしてコスト削減の流れは契約条件の改善や、プロジェクト管理コストの削減を図る方向に向かい、ITベンダーを絞り込む傾向となっていきました。このことがインドのIT業界において、大企業がより巨大になっていく流れとなりました。 インドは当初はプログラミングやテストといった下流を中心に請け負っていましたが、次第に設計といった上流工程や、コンサルティング、研究開発といった高付加価値領域にまで広がっていきました。現在では、IT業務の一括管理といった広範囲の業務を受けるようになってきています。そして巨大なシステムの管理や開発の業務がインドIT大手に集まったことが、その会社の経験の蓄積を進めることとなり、さらに大手に力がつくという循環になっています。 ITアウトソーシングは当初は単にコスト削減目的であったものが、現在では企業収益拡大のツールや品質の確保といった側面も見せ始めてきました。そしてインドIT業界も、世界での経験を基に、品質管理力とプロジェクト実行力、及び多くの業務をこなしていける人材の層の厚さを武器にしている状況となっています。 |
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