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2.インド国民会議派とガンディー 今回はインドの政治の2回目で、インドの現代政治の中心である、インド国民会議派について、その誕生からみていくことにします。 インドが世界に誇るべきは、第三世界の国によくあるクーデターが独立以来一度もなく、複数政党による民主政治がずっと保たれてきたことです。このことには、インドにおいて核となる、会議派という政党がしっかりと存在してきたことが大きな要因でした。 インド国民会議派は、イギリスの保守党などと並んで、100年以上の歴史を持つ、世界でも最も歴史のある政党のひとつです。会議派が結成されたのは1885年で、このときの日本は明治18年伊藤博文内閣成立の年でした。会議派は、1885年12月ムンバイで開催されたインド国民会議がその起源です。このときの国民会議は、インド人に発言の機会を与えることで、イギリスの植民地支配に対するインド人の不満を解消するために開催されたものでした。最初はその名の通り純粋な会議でしたが、20世紀に入ると民族意識の高まりを背景に、民族運動を行う組織に変ぼうしていきました。この状況下で1906年に自治の達成を綱領に掲げ、インド国民会議派の誕生となりました。 そして、1915年には南アフリカからガンディーが帰国してきました。ガンディーはビハール州で農民たちを搾取から守る活動などの運動を主導し、国民会議派の重要人物となっていきました。第一次世界大戦後、インド内部で独立を要求する声が一挙に高まり、ガンディー主導の独立を目指す抵抗運動が始まりました。 非暴力抵抗運動です。その抵抗形態として、(1)断食、(2)ハルタール(商店閉鎖、ストライキ )、(3)非協力、(4)不服従が提起され、いずれも武器を使用せず、暴力を拒否して民衆の戦いを進めるところに特徴がありました。運動がもたらした最大の意義は、地方の下部組織の確立を通じて会議派を大衆政党へと転化させ、さらに一般大衆の政治参加を促し、全インド的な支持を集めることに成功したことです。 ガンディーが行った非暴力的抵抗の思想と行動は、この後世界の民衆の抵抗運動や市民運動に大きな影響を与えることになりました。ミャンマー軍政の独裁政治と戦う民主化運動の旗手アウンサン・スーチーの行動へ深い影響を与えるとともに、南アフリカでの白人のアパルトヘイトに抗議して、進んで刑務所行きを試みたネルソン・マンデラの政治思想の支柱ともなりました。さらに1960年代後半の北米における、黒人マーティン・ルーサー・キング師らのベトナム反戦運動の実践的な基盤ともなりました。 1939年の第二次世界大戦の勃発を機に会議派は独立要求を強めていき、1942年には「イギリスはインドから出てゆけ」運動を展開しました。この後インドは1947年ついに独立を達成し、これ以降会議派は、政治権力の奪還を目的とする組織から、政治権力の運営を担う組織へと転換していくことになりました。 このころの日本との関係では、インド国民会議派の一員としてマハートマー・ガーンディーやネルーとともにイギリスからの独立運動を指導してきた、スバース・チャンドラ・ボースのことを触れておかねばなりません。 ボーズは、インド独立運動の中心地であり、国民会議派の拠点だったカルカッタの市長に33歳の若さでなりました。ボーズはインドでは、「偉大な指導者」と言われ敬愛されていました。チャンドラ・ボーズはインド独立のためインド国民軍を創設し、総指揮官となって日本軍とともにインパール作戦に加わりました。ボーズは第二次世界大戦末期の1943年日本に亡命するなど、日本がボーズやインドを支援したことは日印関係にとってたいへん良い結果をもたらしました。 さらにインドのパール判事は東京裁判でただ一人無罪を主張しましたし、終戦後まだ主権の回復していない日本に、自分の愛娘であるインディラと言う名前をつけたインド象を贈ったのはネルー首相でした。ちなみにこの象の贈呈式に出席したのは、吉田茂首相とその孫で当時9歳の現麻生太郎外相でした。 太平洋戦争では中国や韓国では反日感情を生み負の遺産を残しましたが、インドやインドネシアではむしろ独立運動を支援したことで、全く逆の正の遺産を残したことは特筆すべきことです。 |
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